華やかな沖縄を、 君は見たかったのだろう…
ここまでの旅路が少々地味で 男くさかったから、 やむを得ん。
見せようではないか… これが魅力たっぷり! 沖縄観光地やっさー!
2015/3/16
距離:56.5km
国頭村→瀬底島
やさしさに包まれたなら
ふかふかの布団… 最高の目覚め。
そうさ、旅路の野宿を思い出せば、 日常のありふれた朝だって、 幸せで一際に輝いて見えるはずです。
さて、 民宿ヤンバルクイナを出発すると、 宿のおばちゃんが追いかけて来ました。
何か持っています!
これは、アニメやゲームでよくある展開!
「仲間にしてほしい!私も連れて行ってくれ!」
というパターンだと確信しました。
よしっ!ついにきた! 「仲間をふやして次のまちへ」
というフレーズのように、 僕の冒険も盛り上がってきたな!と笑みを浮かべていると、
おばちゃんはおにぎりを渡して来ました。
「海でも見ながら食べてや!」
・・・。
グッときました。
僕は素泊まりの安い料金しか払ってないのに! どうして… Why Japanese People…!!
草に包まれたおにぎりがなんとも旅らしくて、 「粋な計らいだなあ…」と温かい気持ちで走り出しました。
その5分後、ジュースを買いに行ったコンビニにて レジのおばちゃんと話が盛り上がりました。
僕が北海道から来たことにとても驚いていました。
レジ裏に姿を消すと 「これ、持っておいき!」と ドラ焼きを渡してきました。
なんて、あたたかい人たちなんだろう…
僕は今日の目的地「古宇利島」を眺めながら、 やさしさに包まれた朝食を食べていました。
ここは天国 古宇利島
人の優しさは一番のガソリン! 快調に飛ばし、ひとつ目の目的地、 「古宇利島(こうりじま)」に到着しました。
沖縄ファンの皆さま、 大変長らくお待たせいたしました。
くさい男の人情、自転車旅など どうでもいい!
絶景が見たい!!
それくらい、 わかっていますとも。
見てください。この青。
筆舌に尽くしがたい、 エメラルドグリーン色の鮮やかな海をかける 「古宇利大橋」
沖縄旅行に行くのならば 必ず訪れてほしい絶景スポットです。
道がひらけ、 この景色が現れた瞬間!
僕の心臓は5秒くらい動くのを忘れていました。
もしも、天国に行く切符があるのならば、 僕はそれを「古宇利島行き」に変えてもらいたい…
それほど素敵な場所でした。
チェンジジイ!!
ひたすらにチェンジを繰り返すジジイ。 その名もチェンジジイ!!
古宇利島があまりに美しいものだから、 おじいちゃんたちもはしゃぎまくり…
10枚とっては交代し、また10枚、交代、10枚交代… あと50セット!
合宿かよ!
と叫びたくなるほど、 永遠にチェンジを繰り返していました。
まあ、確かに納得。 物すごく綺麗なのです。
暑中見舞いや年賀状にでも使うのかな?
何億年のメロディ
写真を交代で撮りまくるチェンジジイも去り、 僕は砂浜に腰を下ろしました。
宝石のようなその海に心洗われ、 疲れも吹っ飛びました。
紺碧の波は絶えず砂浜をなで、 純白の雲は絶えず空を泳いでゆきます。
何億年と変わらないこの景色に どれだけの人が心奪われ、 ここにこうして座っていたのでしょう…
果てしない時の流れの中で 偶然にもこの時、この場所に、 自分が座っているということがなんだか嬉しくて、 僕はしばらく海を眺めていました。
ちょっと何言ってるかわからない
島の中の小さな食堂で昼食をとりました。
食堂のおばちゃんに、 一人で自転車に乗って来たことを伝えると
「えらい!!」と褒められ、 ここでも良くしてもらいました。 (偉いのか? もしかしてエロいっていったのか?)
僕は餃子セットしか頼んでないのに、 今朝、島でとれたタコと海ぶどう、 サーターアンダギー、
それから珈琲まで入れてくれました。
どうして… Why Japanese People…!!
こんなにたくさんの優しさを、 僕は誰かに返せるでしょうか。
そんなことを考えながら、 ゆっくりと噛み締めて美味しくいただきました。
その間に、一人の男が店に入ってきました。
なんというか、ただ者ではないオーラ!! ワーハッハ!と豪快に笑い、 いかにも器が大きい人という印象。
顔はサンドウィッチマンのメガネじゃない方、 富澤さんに似ています。
「おーい!来たよー」と席に座ると、 ジョッキでビールをグビグビと飲んでいます。
「やばい人来たよ、早いとこ行こう」と考えていると、 その男は突然、
「タコライス!!」
と叫びました。
そのタコライス!があまりに突然で、
爆発的なものだったので、僕は怒られたのかと思いました。
まあ「タコ野郎!!」とか怒鳴る人はいるけれど、 「タコライス!!」と怒鳴るパターンは、 聞いたことがないなあと冷静に考え、 落ちつきを取り戻しました。
男はタコライスを食べながら話しかけてきました。
「〜ちゅっ!…さー!!」
・・・? 方言がなかなか聞き取れませんでした。 (ちょっと何言ってるかわからない)
けれど、 僕が北海道から来て自転車で旅をしていることを伝えると 「ばかだ!!」と笑いました。
その後、おばちゃんもテーブルに腰掛け、 島の話で盛り上がりました。
その男はなんと古宇利島のボス、 区長さんでした。お若いのに!
「10年後には沖縄の見地知事さー! ワーハッハ!」とビールを飲み干します。
そのまま、次の場所へと向かいました。
本当にすごい人です!
こうして、 かかさず島の様子を見て歩いているそうです。
ジャニーズ嵐がやってきてから、 突如、大人気の観光地となった小さな島のことを、 考え、尽力しています。
その大きな背中を見ていると、 これからもこの島は安心だ!
そんな気持ちになります。
美ら海水族館
古宇利島を後にし、 やってまいりました「美ら海水族館」。
それにしてもすごい人の数です。
僕はこのところ、 ひたすらに山の中を走って来たので、 若い人たちに会うとドキドキしました。
見渡す限りカップルだらけでしたが、 気にしません。
僕は真剣に魚と向き合うために ここにやってきました。
カップルたちがツーショットを撮る中、 僕はひたすら魚の種類を数えました。
カップルたちが建物の陰で そっとキスをする中、
僕はひたすら魚の説明文を暗記しました。
カップルたちが 「ねえ、どの魚が好き?」 「…君が好きだよ」
とか言っている中、 僕はひたすらチンアナゴが何秒に一度砂の中に潜るのか、 その平均時間の統計をとっていました。
カップルたちが 「きゃぁ!!ジンベイザメ!!」と 叫び声をあげる中…
このときばかりは僕も一緒になって 「きゃー!!ジンベイザメ」と 叫びました。
母と子
ジンベイザメの水槽の前に小さな男の子と そのお母さんがいました。
5歳くらいでしょうか。
よっぽど大きな水槽に感動したのか、 はしゃぎ過ぎです。
大きなマンタを指差し、
「ぼく、これに乗ってみたい!!」
と叫びました。
母 「…」
いったいどんな言葉をかけるのだろう。 僕は、母の次の言葉を待っていました。
二人の頭上を大きなジンベイザメが通りました。
母は上を指差し、 ニコッとほほ笑みました。
「お母さん、こっちにするわ」
男の子の目がキラキラしています。
それから男の子は水槽に顔をビッタリつけて、 夢中になって魚を見ていました。
子育ての何気ないその一言一言。
それがどんなに子どもを伸ばしたり、 また逆に、可能性を縮めてしまうのか、 考えさせられました。
あの時、母がもしも 「迷惑だから、静かに見なさい!」
なんて言葉をかけたのなら、
あの子はこんなに魚に夢中になっていないでしょう。
反抗してもっと騒いでいたかもしれません。
自転車を漕げば、 歩いていれば、 必ず何か見つかります。
大きいもの、 小さいもの、分からないけれど。
心が動く驚きや発見は そこら中に転がっているのだと思います。
明日も素敵な1日になるといいなあ…
沖縄チャリ旅5日目、 ご愛読ありがとうございました。
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