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沖縄チャリ旅3日目

沖縄の旅3日目、 ついに沖縄が牙をむく!!

激しいスコールと度重なる登り坂が奥平を襲う。


旅路はいかに!?

2015/3/14 距離:82.5km

伊計島→東村

 

伊計島を出発して



伊計島のビーチで目が覚め、 早々に荷物をまとめると、頭上に青い鳥が!

幸先のよいスタート。


素晴らしき伊計島に別れを告げ、 激走しました。


むむ、調子がよい!!

躍動する身体の感覚、

疾走感、旅に掻き立てられる好奇心、

夢中になってペダルを踏みました。


そして、2時間ほど走って 額の汗をぬぐって、地図を確認する…

!!!!!


とんでもない失態を犯していることに気がつきました。

「反対方向だ!!!」


予定では今日は南へ進み、 知念岬や南部の方を旅する予定でした。


というか、 その予定でキャンプ場や食料の調達地など 旅に出るずっと前から計画を立てていました。


それが、何たる失態! 北と南を間違えるだなんて…


僕がワンピースのゾロと肩を並べるほどの 方向音痴であることを忘れていました。


しかし、 「背中の傷は剣士の恥!」


目の前に広がる旅路に背を向け、 引き返すなど、 ゾロと肩を並べる僕にできるはずもなく…

めんそーれ!そのまま進めー!!!

とペダルを踏み込んだのでありました。

 

気づくとき


遠くに目をやると今朝出発した伊計島が見えました。

トリハダが立ちました。

「もうこんなに来たのか…」


ペダルを回していれば、 必ず前に進んでいくのです。


そして、そんなことに気がつくのは、 一心不乱に闘っている時ではなく、

「疲れたなあ」とひと休みしているとき、 行き詰って、振り返るときなのかもしれません。


長い挑戦の道、 「本当に自分は進歩しているのか…」

きっと懸命に走り続けているからこそ それが分からなくなるときがあります。


そんなときには勇気を出して、 立ち止まって見る、 振り返ってみる、 なんてことも必要なのかもしれません。


と、言いましても

この時ばかりは、

目的地と反対方向に激走した自分に 冷や汗が流れました。


 

自分の弱さを知る


(最高の友、最高のライバル、梅村拓未氏)


ああ、 ペダルを踏み込んでも、踏み込んでも、 進まないのです。


真っ向から吹き付ける風、 突然降りだした嵐のようなスコール、

いや、実のところ環境がどうのこうのというよりも、 「一人で走る力のなさ」を痛感していました。


いつもは上のフリー素材画像の梅村くんと 10kmずつ先頭を交代し、風をよけながら走ります。


彼の後ろについているときは まるでロープで引っ張られているかのように スイスイと進んでいきます。


しかし、今回は一人旅…

すべての道で、 すべての風をうけて、 進んでいくのです。


真っ向から風を受け、 息が切れ、意識が朦朧としてくると、

「くそう、君がいればこんな道くらい…」

そんな気持ちになります。

 

米軍基地



柵のすぐ向こうにあるのは? そう、米軍基地です。


沖縄を走ってみれば、 まず最初に驚くはずです。

「高圧電流注意!」


そんなことが書いてある柵の、 すぐ横を学校帰りの子どもたちが歩いています。


社会科教員を目指していたこともあり、 沖縄の基地問題については、 よく考える機会がありました。

「沖縄県民」「アメリカ」「日本政府」 の3つのグループで合意形成を考える授業をデザインしたとき、

自分の思考がいかに偏っているのか、 いかに無責任に状況を捉えているのか、 いかに無知であるか、痛感しました。


そして、実際に自分の眼で それを目の当たりにしたとき、 教科書をパラパラとめくって知ったつもりになっていた、 自分の無力さを知りました。


まずはもっと、 「知ること」 「向き合うこと」から始めたいなと 思うようになったのは旅に出たからです。


 

反対運動



少しずつ、 本当の沖縄の姿が見えてきました。

美しいだけの島ではないのです。

その裏に血の滲むような苦労と、 迷宮のように答えの見つからないたたかいを 続けている人々の姿があります。


今日僕が走った道は 昨日までとはうって変わって大自然、 田舎道です。


そんな地域にこそ、 沖縄がかかえる問題の本質が垣間見えるのです。

観光客の多い地域では、 その本質が見えませんでした。

掻き消すのです。叫びを。 観光客の笑い声が。


沖縄の中ですら、 反対を叫び続ける人の声が 観光客のざわめきに埋もれているのですから、

それが日本の中央まで響くことは 難しい現実があると感じました。


これに気づけたのは自転車で走ったからです。


綺麗なところだけ見たいのなら、 観光ツアーに参加すれば良いのです。

というかそれが良いのは間違いないです!

僕はもう体が痛いやっさー!! しに疲れたやっさー!!


ツアーはイチゴの先の甘い方だけ、 かじったような幸せな気持ちになれます。


それが大人のやり方だと思のです。

イチゴのどこが一番美味しいのか、 もう分かっているからこういうことができます。


でも僕は死ぬまでクソガキでもいいかなと思っています。

イチゴの先どころかヘタまで食べて、 オエッ!ってなって。


でもそんな苦いヘタのようなところに、 心を動かす「スイッチ」みたいなものがあるような気がします。

それが僕の自転車に乗る理由やっさー。

 

スーパーメェゴーサ


こんな看板があちこちにあります。

「スーパーメェゴーサー」というのは、 きっとジュゴンが極限に追い込まれた状況のみ使う切り札、 必殺技なのだと思います。


メェゴーサーは氷タイプ技で威力が80なのに対し、 スーパーメェゴーサーは威力150です。

加えてタイプ一致です。 まず普通の人は一撃でしょう。


それはさておき、 言葉の意味が分からなくても、 ジワっと心に届く何かがこの看板にはあります…


“基地つくったら、 凄いげんこつをお見舞いするぞ”


という意味だそうです。

 

大自然の中で聞こえたのは



ご覧の通りの大自然。 壮大なスケールの自然に圧倒されました。 北海道に住む僕ですら、そうなのです。


そこでは何種類もの虫や鳥の声が入り混じり、 それに雨の音、 木々のざわめきが重なり、 ふと気づいたことがありました。


何か訴えようとしている…?


同じなんだ…

それは動物や植物たちの 「叫び」に聞こえました。


日本はアメリカに敗れました。 米軍基地が沖縄にあります。 それに反対して叫び続ける人がいます。


しかし、 現実は複雑に絡み合い、 叫ぶ住民ひとりには、 どうすることもできない現実がそこにあります。


道路の真ん中で 車にひかれたイタチが倒れていました。

人間は自然を開発していきます。 大量の空き瓶が林の中に捨てられていました。


この声が、 このざわめきが、 人間に対しての「叫び」ならば、

いったいどんな言葉だろう…


どんな思いがそこにあるだろう…

鳥たちの鳴き声のはかなさが、 心をギュッと締め付けます。


どうしようもないこの現実を どう思っているのかな。


こんなことを考えていたら、 いや、雨のせいでしょうか、 体の痛みのせいでしょうか…


気づいたら泣きながら走っていました。


今日、降り続けた雨は そんな人間と自然に、 心を痛めた、 神様の涙だったのかもしれない。



今日は目的地に届かず、 公園にテントを張り、休息をとりました。


明日は何が見つかるだろう…

何もなくても、

旅は楽しい。

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