復興RIDE完走!!
皆さん、あたたかな応援 ありがとうございました。
昨日、予定通りの時刻にゴールしました。 (身体は予定通りではなくボロボロ)
1年ぶりに自転車に乗る人が 突然120km走るとこんなことになるのか!
カメレオンみたいな奇妙な動きでしか 移動することができません。
何はともあれ、 募金箱をのせているという意地で完走!
“サイクルジャーナリスト”
自転車に乗り、カメラを握るという 独自のキャラで震源地厚真(あつま)を取材してきました。
仰天しました。
現地のエネルギーに。
人という生き物は私が思うより何倍も 強いのかもしれません。
街には新しい木材の香り、 活気あふれる工事の音、 走り回る子どもたち、 人々の笑顔。
震災直後、静まり返っていたあの場所と 同じ場所に来ているとは思えないほど。
五感全開で旅する自転車だからこそ感じた、 被災地の今、考えたことを綴ります。
活気あふれる被災地
スタート地点の江別から約60km、 4時間半ペダルを漕いで到着した厚真町。
“軽い気持ちでこの場所に来てはいけない”
そう心を引き締めていた私が、街で一番、 暗い顔をしていたかもしれません。震災を乗り越え、 力強く生きる厚真の人々は私なんかよりもよっぽと前を向いて 新しい日々を歩き始めていました。
そして、 北海道中から 大勢のバイクライダーたち、家族づれの観光客、
「こんなときだから、そうだ厚真に行こう」
と盛り上げていました。
いいえ、正確には厚真には 人をひきつける魅力が溢れていました。
美味しいジンギスカンに豚丼、 豊かな自然に温泉、 思わず走り出したくなる田園風景…
『ぼくのなつやすみ』のような あたたかな雰囲気の厚真町、
ひとりの旅人として、 何度も訪れたくなる場所でした。
仮設住宅入居開始
(※まだ未入居の住宅を撮影しています)
「じめっとした土のにおい」 震災直後にまちを歩いた際の嗅覚。
「ほくほくした木のにおい」
昨日の私の鼻。
公園や空き地には大きなクレーン車が現れ、 せわしなく作業に励んでいます。
真っ白な木を打ち込んで、 仮設住宅の土台を作ります。
過酷な北海道。
あと2週間も経てば、 あたりを雪が覆います。
近づいてくる冬に備えて 作業は急ピッチです。
きっと、ここからが 長い復興への道のり。
めぐるめぐる季節、 冬を越え、春を迎えるには
あたたかさが必要です。
それは、きっと、 暖房やストーブではない、
皆さんの、被災地とともに歩む、
“心のあたたかさ”です。
自己責任論
“自己責任論”
「勇気ある行動」
「シリア人としては有難い」
「道で会ったら文句は言いたい」
「自業自得」
ジャーナリストの安田純平さんを取り巻く 一連の報道や記事を受けて、うん。
議論が起こるだけ 素敵な世の中になったなあ。 というのが私の素直な気持ちです。
「過去の事例を」ということで、 2004年の“イラク日本人人質事件”の議論が 掘り起こされたりしていますが、
もっと遡ってもいい。
日本人の無意識に 行き着くところまで。
ちょうど、新渡戸稲造さんの 『武士道』を読んでいた私にとっては、 少し感じ方にギャップがあるかも。
“敵陣に捕らえられた”(例えば)
当時なら議論の余地もなく 自ら腹を切るだろう。
(命が勿体無いよ。)
国は彼の命を守るために できることをして、
安田さんも精一杯生き抜いて 帰ってくることができました。
直感的に、 「日本も安田さんもすごいな」 と思いました。
自分の責任、国家の恥だと 安田さんが自ら命を絶ったり、 諦めたりして亡くなっていたら、
どんなに冷酷な事実、
そして、冷たい議論がうまれただろう。
考えたら背筋が凍りそう…
安田さんは、 感じた責任と感謝の分だけ、
体験したこと、現地の事実を 伝えて伝えて伝えればいい。
何か言いたい人は、 シリアに行ったり、たくさん勉強して、 議論できるステージに立って、
安田さんに激アツな議論を 持ち込んでみたらいい。
生きて帰ってきたんだから。
私も世界中のことをもっと知ったら 安田さんと議論してみたいもの!
シリアの紛争問題のこと話すなら 安田さんが日本で一番面白い。
さてさて、 せっかく活発な議論がうまれる 素敵な日本になったわけだから、
「ジャーナリストの命を守るために 何が必要なのか」
「紛争地域の情報収集のさらなる進歩」
このベクトルのアイデアを ギンギンに研ぎ澄ませていけばいいと思います。
(あっ、現地に行くことの大切さを 書こうと思っていたんだった!!)
五感をもっておいで
カメラを持って感じることは
「ファインダーから覗く世界は限りなく狭い」
ということ。
良くも悪くも 見せたいものを見せることができます。
ごく限られた視覚と聴覚情報しか伝えられない、 所詮、写真も映像も。
(そんなところに私は“言葉”のような 愛おしさを感じるのだけれど…)
テレビでながれる映像は、 まるで、そこにあるすべてのように 見えてしまうけれど、
五感は現地にしかありません。
新しい木材の香りをかいで、
子どもたちの笑い声が 私の鼓膜を震わせて、
地割れしていた道が 平になっていたのを手のひらで撫でて、
やっと再オープンした 厚真名物の豚丼やジンギスカンに 舌をゆだねて、
ファインダーの何倍も広く、 どんなレンズよりも高性能な、 私の瞳で、被災地の瞬間をとらえて。
報道の何倍も、 鮮明な光を感じました。
だから、
“ 五感をもっておいで。”
ということで 椎名林檎さんの詩 『閃光少女』を。
----------- 詞:椎名林檎
今日現在を最高値で通過していこうよ
明日まで電池を残す考えなんてないの
昨日の誤解で歪んだピントは
新しく合わせて
切り取ってよ 一瞬の光を
写真機はいらないわ
五感をもっておいで
私は今しか知らない
あなたの今に閃きたい
エネルギーは伝染していく
私の挑戦はその労力に比べて 結果は散々たるものです。 120km走って、 集まった金額は400円。
(出発するとき自分で入れた)途轍もなく非効率で、 一見何がしたいのか分かりません。たったひとりで爆発してるだけの 閃光少年です。
でもね、 それでいいと思っています。
理論的じゃなくていい、
整っていなくてもいい、
説明できなくてもいい、
感情ベースでいい。
今回の復興RIDEを通して、 日本全国からメッセージが届きました。
“何かやる気が出た”
“動いてみようと思った”
予想もしてなかった 嬉しいできごとでした。
だから、 誰のためとか、どんな成果が出るとか あまり考えなくてもいいので何か感じたら、
爆発してください。
あなたの爆発が、
まるで水面に波紋が広がっていくみたいに 人から人へ、伝染していくので。
波紋を感じたそこのあなた、 その躍動のまま、 爆発してください。
そこからまたまた波紋が広がって、 日本中、世界中、波紋だらけになります。
明日の世界を変えるのは
他でもないあなたから始まる 爆発です。
昨日の私のように 非効率極まりない自己満足型の爆発でもいい。
復興RIDEの文字を見て “ほう!”ってうなったおじちゃんとか、
車を止めて、 グーサインをくれたお兄さんとか、
鬼の形相で坂を登っていく私の姿を見て 口を開けていたおばちゃんも、
みんな、
爆発してくれたらいい。
意志のある爆発は 必ず誰かの心を動かすので。
以上、
全身筋肉痛の カメレオン奥平より。
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