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執筆者の写真Keita Okuhira

フィルムカメラで地球一周-南半球編-


ちょうど1年前、

2019年の12月から3月にかけて


南半球をめぐる地球一周

にチャレンジしました。


そして、

一年の時を超え、つい先日、


当時のフィルムが

ぽろんと出てきたのです。


ということで、

皆さん、早速ですが、


フィルムカメラで撮影した

どこか懐かしい写真とともに


地球一周の旅へ出発です!

 

今回も相棒はPENTAX SLです。

こいつとも気がつけば地球二周目。


だいぶ、

分かり合えてきたような気がします。


50年も昔のカメラなので、

フィルムを入れてカチッ、ガッチャンと撮ります。


そして、

どんな写真が取れているのかも、

日本に帰国して現像してみないと

分かりません。


船の中のカメラマンとしての仕事では

全く使えないこのカメラですが、


仕事で全く使えないからこそ、


リラックスして、のびのびと

自分の撮りたい写真を撮ることができます。

 

さあ、地球一周の船旅へ。


大海原に舵を切るのは

オーシャンドリーム号。


この船に、

僕はたくさん夢をみさせてもらったな。

 

ありふれた構図で撮った一枚だけれど、


フィルムの魔法にかかれば

味わい深い一枚に。


僕がデジタルカメラで撮る写真は

色が濃くて、ギラッとした感じなので、


「フィルムカメラで撮った写真の方が好きだよ」


と言われることも。

 

デジタルカメラを握っている時と、

フィルムカメラを握っている時では、


気分も、

撮りたいものも、

歩くスピードも全然違う。


「人」が

「カメラ」を握って

「写真」を撮るのだけれど、


「カメラ」の放つ不思議な力が

「人」を動かして、

生まれる「写真」もあると思うんだ。

 

インド洋の貴婦人「モーリシャス


ガイドブックに載っている

ビーチではなくて、


タクシードライバーが

"一番好きだ”というビーチへ。


怪しい田舎道をずっと走って

辿り着いたのは

天国のように美しい海。


南風と灼熱の太陽。

手に汗握りながら

シャッターをきった一枚。


フィルムカメラで撮った一枚には、

たくさんの記憶が詰まっている。


記録よりも記憶に残る写真なんだ。

 

南国の夕焼け。


夕焼け色の雲も


のんびり漂う南国気分だ。

 

見渡せば360度すべて大海原。


水平線に沈む夕陽は、


毎日が忘れられない絶景。

 

フランス領「レユニオン島


街を歩いていると遠くに海が見えた。


その青色に吸い込まれるように

ひとりとことこ、1時間ほど歩いた。


地元の人も誰一人いない

静かな海岸。


そっと腰をおろし、


スーパーで買った生ハムと

フランスパンを頬張りながら、


ずっとずっと波の音を聞いていた。

 

ステージでの講演会の取材や

パフォーマンスイベントの撮影、

パソコンに向かって文章を書く仕事、


夢中になって仕事をしていると

以外にも室内で過ごす時間が多い。


5分でも時間があれば、

デッキに飛び出して海を眺めにいった。


爽やかな潮風、

どこまでも広がる水平線、


どんな悩みも、

自分自身すらも、

ちっぽけに思えた。


海は、


途方もないような謙虚さと

そよかぜのようなやさしさだけを


心に残した。

 

周囲2000kmに誰も人はいない。

絶海の孤島「イースター島


イースター島というのは

その島を発見した人が

つけた名前であって、


島に暮らしていた人はこの島を

ラパヌイ」と呼んだ。


島には

巨大なモアイがそびえ、


この世界の誰にも読むことができない

忘れ去られた文字によって


その歴史が記されている。


謎に包まれた島なのだ。

 

島では村同士の権力争いが起きた。


それぞれの象徴的存在であった

モアイを倒す、


"モアイ倒し戦争”が始まってしまい、

何と島のすべてのモアイが倒れた。


今のラパヌイの景観の陰には、

島民や世界各国の尽力がある。


そこには日本のクレーン会社が立ち上がらせたモアイが何体もあるという。

 

無意味な争いを止めようと


権力者を選ぶための、

ひとつのルールが決まった。


島から泳ぎ断崖絶壁の小島に上陸する。


そこにある鳥の卵を

割らずに抱えて泳ぎ、


最もはやく持って帰ってきた者が

次の年の王になる


そんなびっくりルールだった。

 

ラパヌイは不思議であふれていた。

何もかもが不確かで、ミステリアスだ。


ただひとつだけ、

確かなことがあるとするならば


ここには美しい


人間の営みがある。


これが「文化」という言葉の

意味なのかもしれない。

 

南極を目と鼻の先にのぞむ

パタゴニア


雄大な地球の姿に息をのみ、


シャッターをきった。


吹き荒れる風の中に


カシャンというシャッター音だけが


どこまでも響いていった。

 

おわりに

一本のフィルムの中に、


景色がある、


そこにふく風がある、


波の音に、潮のにおい、


南風の肌触りがある。


色褪せたフィルムの中に、


鮮やかな記憶がある。


写真は、


流れるときの中で


そういった五感や記憶を


僕たちの心にそっと運んでくれる。


人生の旅は

あまりに唐突で、

瞬く間にすぎてゆく。


だからこそ僕は、


写真を撮るのかもしれない。

 

フィルムカメラ地球一周の旅。

楽しんでいただけましたら幸いです。


100日間の旅を綴っていた

写真と言葉の仕事が気になる方がいましたらぜひ、こちらをどうぞ。



フィルム一本分とは思えない、

長い長い地球一周の旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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